「カースト」記述さまざま〜その2

定義について

 今回は、百科事典刊行で有名な平凡社の『南アジアを知る事典』の当該項目をみてみたいと思います。全部で7ページもあるので、何回かに分けて、少しずつ紹介していこうと思います。
 まずは、定義の部分を見てみます。

カースト|caste
インドの社会集団.結婚,食事,職業などに関する厳格な規制のもとにおかれた排他的な社会集団の呼称.カーストを経済的な相互依存関係と上下の身分関係で有機的に結合した制度をカースト制度という.

出所:辛島昇ほか監修『南アジアを知る事典』平凡社、1992年10月、136ページ。


最初に、「カースト」とは、「インドの社会集団」であると、明確に定義されています。前回の引用ではどう定義づけられていたでしょうか。「インドの職能を基にした階級制度。もしくはその中の階級」(はてなキーワード)、「ヒンドゥー教にまつわる身分制度」(wikipedia日本語版)、「インド古来の身分・階層」=「バルナ」または「インドの社会集団」=「ジャーティ」(goo辞書)、「インドにみられる社会集団」(『広辞苑』)となっています。「社会集団」、「階級制度」、「身分制度」では、日本語としての意味やニュアンスが異なります。それぞれの記述の妥当性については、「カースト」が表すものの具体的な中身を見て、そのうえで検討しなければならないでしょう。続きます。


(追記)ピリオド等の形式を訂正しました。